
BMW 3.0CS E9のフルレストア

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オーナーが入庫した理由
「10年、20年後も普通に使えるクルマとして乗りたい!」というご要望。いわゆるフルレストアです。やや物足りないエンジンパワーや、高速巡航時にエンジン回転が高すぎることにも対応しました。サムスオートの所見



この車両は、いわば"全部のせ"。オーナーの「長く乗りたい」という要望に応えるために全力でやりました。もちろん、オーナーの承諾をいただきました。
全体の工賃は決して安くはないけれど、10年、20年の使用に応えるために必要な作業を行なっています。
たとえ話しですが、修理にかける費用の上限を500万円に決めたとしましょう。
1年ごと修理に50万円かけると、10年手を入れられる。でも10年たったころには、最初に手を入れたところは壊れてしまうでしょう。また修理を分割しただけ、分解&組み立てやエンジンの上げ下ろしなど、同じ作業にもコストが発生するので、実質の仕事にかけられるコストが低くなります。
根源からレストアを行えば、コスト以上に長く乗っていただけるのです。
レストアにあわせて、チューニングも行いました。
エンジンは、3リッターから3.6リッターに排気量をアップ。排気量拡大にあたっては、M6標準のコンロッドとピストンを利用し、後々、誰でも修復が行えるように配慮しています。「施工した業者でなくても修理ができる」という、サムスオートのポリシーに鑑みての配慮です。
トランスミッションは標準が4速オートマチックなのですが、前のオーナーが4MTに換装していた。その作業がそれほどよい仕事ではなかったので......ミッションマウントなどの作業はけっこう苦労しました(笑)。
ギア比は4速時、100km/hでエンジンが3000回転を超えるローギアード。5速のトランスミッションがあれば換装しようと考えましたが、なかったのでオーバーホール。BMW製で使えるパーツと、フレームの改造によってリアデフを交換し、ギア比を変更しています。これで100km/hでの巡航時、エンジン回転数を2700回転に抑えることができました。
駆動系オーバーホールとチューンの際に、デフキャリアや、プロペラシャフトはワンオフで制作。
ただ、ピストンやコンロッド、デフのシールなど、純正で手に入るものはそのまま利用し、特別なパーツは使っていません。世界中どこへ行っても、メカニックなら直せる車両に仕上げました。長く乗っていただけるように。
施工の内容
- コンプレッションのチェック
- エンジンとトランスミッションを車体から取り外し
- エンジン分解、各パーツ状態の検査
- エンジンオーバーホール(加工、研磨、面研)
- 消耗品や劣化部品の交換
- エアコンのコンプレッサーを新品にリプレイス
- トランスミッションの分解、各パーツの状態検査
- エンジンとトランスミッションを車体に取り付け
- 試運転